- China
概要
問題の所在
台湾をめぐる米中間の平和共存は試練にさらされようとしている。北京は「台湾統一」を不可避と確信している。他 方で米国の軍事的優位は侵食されつつある。中国は一発の銃弾も撃たずに台湾を締め上げ、孤立させ、屈服させ ようとしている。台湾侵攻を抑止できなければ、世界経済、米国の同盟関係、そして国際的な力の均衡に壊滅的な 結果を招きかねない。だが米国は、統合的な戦略を描けていない。
本書の分析
『台湾を守る』において著者アイク・フレイマンは、台湾をめぐる中国との戦争を抑止し、名誉ある平和を維持する ための初めての統合的戦略を提示する。軍事的抑止力のみでは戦争を防げない、というのが本書の中心的主張で ある。抑止は、政治・軍事(通常戦力)・戦略・経済の四本柱が一体として機能する必要がある。 本章の視点: • 最も危険なシナリオは、軍事侵攻ではなくグレーゾーン有事である。中国による台湾に対する経済 封鎖や軍事的威圧は、一発の銃弾も撃たずに台湾を屈服させることを目的とする。米国は、半導体製 造拠点が無傷のまま台湾を手放すか、大規模な経済的打撃と全面戦争へのエスカレーション・リス クを受け入れるか、選択を迫られる。 • 米国は戦争だけでなく、危機そのものを抑止しなければならない。 • 米国は相互破壊の脅しに加え、積極的な経済計画を用意する必要がある。 • 同盟国間の調整こそが統合的戦略の要である。米国には同盟国との連携と、これを持続させる制度 的メカニズムが必要であり、場当たり的な外交では不十分である。
政策提言
1. 四本柱の抑止体制を構築する。政治的関与、軍事的な備えと防衛産業基盤(DIB)の改革、宇宙・サイバー領域 における技術的優位、経済危機対応計画を統合した抑止が必要。
2. 軍事侵攻だけでなく、グレーゾーン有事に備える。経済封鎖や軍事的威圧シナリオに対する危機対応計画を策 定する。
3. 「雪崩型デカップリング」を想定した経済的危機対応計画を策定する。有事初日にサプライチェーンを断絶す るのではなく、中国への依存を段階的に解消していくメカニズムを構築する。
4. 同盟国間のコア連合を制度化する。米国、日本、オーストラリア、英国、カナダの五カ国を、常設の調整メカニズ ムを通じて制度化する。